きみは、世界一本が似合う。
彼女は・・・
彼女は本を読んでいる時が1番綺麗だ。
持ち合わせの物静かな雰囲気と、大人びた風貌。髪はミドルロングで、時々前髪が目をちらつかせる。思春期とは思えないほどきめ細やかで弾力のありそうな肌。
机に突っ伏して寝ているとき、ふと目を開けると彼女は視線を下に、本に向けている。艶やかなマツ毛と思わず触れたくなるような肌。
彼女を華に見立てて紅茶でも入れてみようか。なんて思う。
この光景が、一番好きだ。
僕は隣の席でいつもそう思う。
この想いを彼女に伝えれば、謙遜して、少し困った顔をして、その後微笑んでくれるだろう。
彼女はそういう人だ。
声は細くて、柔らかい表情と良く似合う。
何気なく発する言葉もキラキラしている。
心にしみる。
でもそれは、風貌や音が良いからだけじゃなくて、中身からくるものだってわかってる。
僕の心は、彼女が口にする言葉にいつも大きく揺れる。
僕に伝えてくれる彼女の言葉は、いつも核心を突いてくる。
僕が思い込んで抜け出せなかったジレンマを何度救ってくれただろうか。
彼女にとってはたわいもない事でも、僕にとっては大きな衝撃になったりする。
それらが、お互いに思っている事だったらいいのにな。と、また思いにふける。
出来ることならもっとたくさん話して、たくさん刺激を受けたい。僕は彼女と一緒ならいつでも正しく、それでも緩やかに、自分たちの思う道を進める気がする。
でも、近づきすぎるのは、良くないとわかってる。
そのくせにお互いに心のうちを晒している僕らは、お互いがお互いを作っている。依存している。そんな気がする。
叶わない想いと、近すぎる距離。
彼女の笑顔を見る度に僕の心が小さくなって、少しの痛みを感じることに僕は気づいてる。
でも、それでも、、、ダメなんだ。
だから、改めて言わせてもらおう。
感謝も想いも憂いも込めて。
叶わない想いかもしれないけど、
この距離だから言える。
きみは、本が世界一似合う。