病室102 episode.07
episode.07
おじいちゃんごめんなさい
それから僕は、ばあちゃんが住んでた家に行くことはなくなった。
どうしようもなくあの場所にはばあちゃんの面影があるから。どうしても、行けなかった。
8ヵ月の間に二人の大切な人を失くした。
かなりのショックだったんだと思う。
あるひ、ばあちゃんが住んでいた家に行くと、じいちゃんがいた。当たり前だけど。
少し老けていた。孫が来たから笑顔を作る。無理してないかなって心配になる。
「おー、ゆう、来たか!」
続けて言ったのが、
「じいちゃんのこと嫌いね?」
は?
いや、そんなはずないよ。そんなわけが無いじゃないか。
「なんで?じいちゃん好きだよ?」
と、子供ながらに対抗した。
「全然泊まりこないがね」
「・・・。」
黙ってしまった。
ばあちゃんの面影があるから。だ。そう思っていた。でも、今まで泊まりに行っていたのは、確実に、「ばあちゃんがいたから」だったんだ。そのことに気づいて、何も言えなくて、じいちゃんをまた、悲しませた。
「・・・ごめんなさい。」
じいちゃんは、黙ってお風呂に行った。
まだ6歳。仕方ない事だけど、悲しくなったことに、悲しませてしまったことに、罪悪感を抱いた。
そんなことがあり、僕はじいちゃんが昔から少し苦手だ。
18になった今、じいちゃんは目の前で横になってる。あの網のテントの夜みたいには行かないけど、ばあちゃんにしてやったように、なるべく付き添ってやりたいと思う。
僕が島を出るその日まで。